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お問い合わせは otoasobinokai@ gmail.com

音遊びの会とはcontact us

 2017年8月、音遊びの会は発足当時からの代表をつとめてきた沼田里衣の退任に伴い、これまでの活動の場であった神戸大学を飛び出し、地域に根ざした団体として新しいスタートを切りました。現在、主に月2回のワークショップと楽器の保管ができる拠点を探しながら、しばらくは試験的に和田岬のスペースで活動をスタートします。

 音遊びの会はコアメンバーだけでも約40名、さらに遠方に住む親せきのおじさんおばさんのようなメンバーも含めれば総勢60名超。ひとところに集まれば、まるで一つの大きな家族のようです。
 その大家族の中、私も2005年の発足時から主に事務方として関わりながら多くの時間を共有してきました。12年前には追いかけっこをしたり軽々と抱っこできた「子どもたち」も、今やほとんどが成人を迎えています。12年の間に本当に色々なことがありました。発足当時、夜な夜な熱く議論したスタッフやミュージシャン、多くのアーティストの方々。そして、会の存続を力強く支えてきたコアメンバーのご家族たち。沢山の人の多様な関わりこそが、この会の面白さの源になっています。

 これからも音遊びの会の表現スタイルである「即興」を核としながら、私たち自身にも予測不可能な面白さが立ち上がる瞬間をゆるりと期待して、活動を続けます。新しい出会いを心より楽しみに、胸を膨らませて!
少し大人になった音遊びの会をお楽しみに!

音遊びの会新代表 飯山ゆい



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以下は、発足当時から2017年8月までの音遊びの会についての文章です。
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 「音遊びの会」の始まりは、2005年4月から、週末ごとに神戸大学の音楽棟や公園、山に行き、即興音楽、現代音楽や図形楽譜で遊ぶ大学院生の仲間組織でした。この院生と共に、2005年9月、エイブル・アート・ジャパンの助成を受け、知的な障がいのある人たちを募集し、実験的な即興音楽の分野で活躍するミュージシャンや地域の即興演奏家、そして音楽療法家を招待して、「音遊びプロジェクト」は始まりました。  
 「音遊びプロジェクト」を始めた理由は、私自身が知的な障がいのある人との即興演奏について研究するなかで、数々の疑問がわいたためです。知的な障がいのある人は、優れた音楽的感性を持ち合わせていたり、独特の方法でコミュニケーションを取っていたりしているのに、それが広く理解される場がほとんどないと感じました。それどころか、治療すべき行為とみなされたり、支援の必要な人たちの表現という枠組みの内に閉じ込められてしまっていたように感じました。しかし、音楽表現はもっと広く社会の皆で共に楽しむべきものではないだろうか、障がいにまつわる問題は、福祉に携わる人のみではなく、社会の色々な人と共に考えて行くべきではないか、と思ったのです。そう考えて即興音楽文化をのぞいてみると、そこには独自に考案された楽器や奏法等とても独特な音楽文化があり、それらのミュージシャンの音楽には、知的な障がいのある人がすることとかなり似ている部分があると思いました。時には、障がいのある人の方が高い集中力と伸び伸びとした感性を光らせることもあるとすら感じました。そこで、こうした人たちが協働で即興的に音楽を試す場を作ったら、そこに新たな文化が開かれて行くのではないか、と考えました。

 「音遊びプロジェクト」が始まって、第一回目の公演「音の城」では、ゲストの千野秀一、片岡祐介、石村真紀とともに、神戸山の手の古い洋館旧乾邸で、シャンデリアのある客間、廊下、海の見えるサンルーム、広い芝生の庭、縁側など様々な空間を用いて2日間にわたり即興演奏を繰り広げました。
 次の公演「音の海」では、神戸港の人工島ポートアイランドにあるジーベックホールで大友良英、江崎將史、林加奈、森本アリの4名のゲストとともに、「子供ビッグバンド」、「電気バンド」、「弱音’s」、「掃除機バンド」など、プチフェスのように27演目を披露しました。

 「音遊びプロジェクト」終了後も、継続したいというメンバーの希望は強く、「音遊びの会」として、現在のあるべき音楽と福祉のあり方を巡って表現を考え続けて来ました。神戸大学での月二回の継続したワークショップを実施し、公演は、大阪、京都、東京、水戸、山口、北海道などで実施、2013年9月にはイギリスツアーも行いました。梅田哲也、堀尾寛太、テニスコーツ、岩下徹、小日山拓也ら様々なアーティストと交流を行い、ONJO、エコールKOBE、ロンドンノードフロビンス音楽療法研究所などの多様な領域の団体とコラボレーションを行いました。その中で生まれた演目には、様々なスタイルの即興演奏に加え、「じゃんけんラップ」、「相撲」、「図形楽譜」、「エア・アンサンブル」、「ビッグバンド」などがあります。2013年には保護者による企画公演、2017年には新喜劇を取り入れた公演なども行い、固定した価値観にとどまらずに一人一人の表現に焦点を当てる方法を模索してきました。

 評価は多方面にわたり、雑誌『ブリュット』、『教育音楽(小学版/中学・高校版第62巻第1号)』、『芸術新潮(第59巻第1号)』や、著書『MUSICS』(大友良英著、音楽之友社)、『Invitation to Community Music Therapy』(Brynjulf Stige著、Routledge社)、“Otoasobi : Free Improvisation in Kobe[interview with Mariko Hara]” (in “his VOICE”, Hudebni Informacni Stredisko [Czech Republic])等、芸術、教育、福祉、音楽療法を中心とした様々な領域の媒体で取り上げられています。第1回、第2回公演のライブ録音を元に制作れたCD「音の城/音の海」は、横浜聡子監督映画「ジャーマン+雨」で使用されました。2013年には、NHK Eテレで、イギリスツアーの様子が二夜の番組と年末特集として放送されました。     

 2017年、神戸大学の在籍・在職者がほとんどいない状況となり、運営体制を変え、ワークショップ会場も大学から外に移ることになりました。

 なお、「音遊びの会」の名前は、Carolyn B. Kennyの“The Field of Play”というモデルを参考にしたものです。ナバホ族の母親を持つKennyは、「美の中を歩む」というナバホの日常の祈りを土台に、「遊びの場」という理論を考えました。自由で自発的に様々な試みができる遊びの場が歓びにつながることが基本的な発想です。


沼田里衣 音遊びの会企画・代表(発足〜2017年8月)