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音遊びの会とはcontact us

 「音遊びの会」は、知的な障害のある人とその家族、音楽家や舞踏家などのアーティスト、そして音楽療法家が集まり、即興演奏を通して新しい表現を開拓することを目的に活動しています。神戸大学音楽棟で月二回のワークショップをベースに、年数回の公演と公開ワークショップを行っています。  
「音遊びの会」の始まりは、2005年4月から、週末ごとに神戸大学の音楽棟や公園、山に行き、即興や図形楽譜で遊ぶ大学院生の仲間組織でした。この院生と共に、2005年9月、エイブル・アート・ジャパンの助成を受け、知的な障害のある人たちを募集し、地域の即興演奏を得意とする音楽家やゲストミュージシャン、そして音楽療法家を招待して、「音遊びプロジェクト」は始まりました。  

 「音遊びプロジェクト」を始めた理由は、知的な障害のある人との即興演奏について研究するなかで数々の疑問がわき、それに解決の道を見出したいと思ったからです。知的な障害のある人は、優れた音楽的感性を発揮し、独特のコミュニケーションのあり方を示す場合も多いのに、それが広く理解される場がほとんどない。それどころか、限定的に治療すべき行為とみなされたり、固定した表現領域の内にとどめられてしまっている。でも、こうした即興音楽はもっと広く社会のみんなで共に楽しむべきものではないか? 障害にまつわる問題は、福祉に携わる人のみではなく、社会の色々な人と共に考えて行くべきではないか?  そう考えて即興音楽文化をのぞいてみると、そこには変わった楽器や奏法等とても独特な音楽文化があり、それらのミュージシャンの音楽には、知的な障害のある人がすることとかなり似ている部分があると思いました。時には、障害のある人の方が高い集中力と伸び伸びとした表現を光らせることもあるとすら感じました。そこで、こうした人たちが一緒に色々な音楽を試す場を作ったら、そこに新たな文化が開かれて行くのではないか、と考えました。  

 第一回目の公演「音の城」では、ゲストの千野秀一、片岡祐介、石村真紀とともに、神戸山の手の古い洋館旧乾邸で、シャンデリアのある客間、廊下、海の見えるサンルーム、広い芝生の庭、縁側など様々な空間を用いて2日間にわたり即興演奏を繰り広げました。  次の公演「音の海」では、神戸港の人工島ポートアイランドにあるジーベックホールで大友良英、江崎將史、林加奈、森本アリの4名のゲストとともに、「子供ビッグバンド」、「電気バンド」、「弱音’s」、「掃除機バンド」など、プチフェスのように27演目を披露しました。  音遊びプロジェクト終了後も、メンバーの希望でワークショップと公演活動を続けています。公演は、大阪、京都、東京、水戸、山口など遠方でも実施、2013年9月には即興音楽、音楽療法、コミュニティ音楽の三領域を横断するイギリスツアーも行いました。梅田哲也、堀尾寛太、テニスコーツ、岩下徹、小日山拓也ら様々なアーティストとの交流も行いながら、現在のあるべき音楽と福祉のあり方を巡って様々な試みを続けています。これまで、「じゃんけんラップ」、「相撲」、「図形楽譜」、「エア・アンサンブル」、「ビッグバンド」などの演目や、様々なスタイルの即興演奏を行ってきました。  

 メンバーは、年齢も職業も多種多様。とにかく、舞台が好き、新しいことが好き。保護者のパワーもすごい。2013年3月には保護者企画の動く舞台、見えない舞台を披露、他にもミュージシャンや障害を持つメンバーがその時に考えた演奏者の組合せを披露する完全即興の舞台など、障害を持つ人、保護者、アーティスト、観客のより良い関係を巡って舞台を提案し続けています。    評価は多方面にわたり、雑誌『ブリュット』、『教育音楽(小学版/中学・高校版第62巻第1号)』、『芸術新潮(第59巻第1号)』や、著書『MUSICS』(大友良英著、音楽之友社)、『Invitation to Community Music Therapy』(Brynjulf Stige著、Routledge社)等、様々な領域の媒体で取り上げられています。また、CD「音の城/音の海」は、横浜聡子監督映画「ジャーマン+雨」で使用されました。  なお、「音遊びの会」の名前は、Carolyn B. Kennyの“The Field of Play”というモデルを参考にしたものです。自由で自発的に様々な試みができる遊びの場が歓びにつながることが基本的な発想です。

(2013年9月)
音遊びの会代表 沼田里衣